キリマルラーメン和解で考える、権利を振りかざすだけが正義の時代なのか

2018年10月23日、「キリン」の商標権を巡り係争していた飲料大手キリンと小笠原製粉が和解したことが分かりました。小笠原製粉が53年続けた「キリン」商標を使用をやめることとなり、これまで販売してきた即席麺「キリンラーメン」の名称を「キリマルラーメン」に変え、今月30日より販売を開始します。

新名称を楽しんで決め、ブランド再構築へ

小笠原製粉は2018年7月より新名称を公募し、インターネットやイベントを通じた投票などで8月に「キリマルラーメン」に決定しました。長年親しんだブランド名が使えなくなることを楽しんだ形。様々な企画で、楽しんで名前を決め話題となり、新名称を募集した際には、1万753通もの応募があるなど反響も大きく、多くの消費者を巻き込みながら「キリマルブランド」の再構築を図っています。


争わないという選択肢

今月3日、ゴールデンボンバーの鬼龍院翔さんがInstagramで「どなたか今流行りのフリー素材『いらすとや』さん風のタッチで鬼龍院翔バージョンを作ってフリーで提供して頂けませんかね…?」と呼びかけたことに対し、Instagramユーザーから「思いっきり著作権違反ですよ!?」「著作権について意識が低すぎる」「いらすとやに似せて描いて二次使用したら権利侵害に当たるでしょ…」といった指摘が殺到し、騒動となりました。


その後、騒動を聞いた「いらすとや」運営のみふねたかし氏が鬼龍院のイラストを作成し、同氏のツイッターに掲載するという対応がなされ、鬼龍院がそれをInstagramに掲載。鬼龍院は「ありがとうございます!!まさか…いらすとや風ではなく、本物のいらすとや鬼龍院翔を描いて頂けるとは…!感激です!」と、いらすとやへの感謝を記していました。この一連の騒動にユーザーからは、「いらすとやの神対応すごい!」という声が集まっていました。(参考:https://news.nifty.com/article/entame/rl/12184-43211/)

権利を振りかざすだけが正義なのか

TwitterやInstagramでは、今回のキリマルへの変更について以下のような様々な声が挙がっています。

・しょーもない事情。いいやんね、向こうは動物のキリンじゃないんやし。 ・小さい会社いじめている印象がどうしても強くなってしまうよね。親しまれているだけに残念! ・味は変わらないんだろうけど、ちょっと寂しいかな。 KIRINもデッカイ企業なんだから、大きな心でさぁ~

インターネットやSNSの普及によって情報拡散のスピードがとてつもなく早い現代において、不本意ながら正当な権利者であるにも関わらず、権利主張をすることでブランドイメージを下げてしまうケースがよく生じています。

今回の、大企業vs中小企業のような対立関係は、消費者が一番突っ込みやすいケースであり、この議論を通じて、学びは非常に多いと思いのではないでしょうか。

 ・炎上パターン/神対応の理解

 ・ブランド、売り上げ、権利を主張しないことのインパクトの考量から対策を検討  

 ・権利主張するときの最終判断組織の見直し(権利サイドだけでは危ういことがある。)

日本の大企業は実際に事業をしていない区分も保護的に多く取得している事実があります。

こうしたケースはこれからも起きそうです。知財に詳しいことを前提として、マーケサイドの事情もよく理解することが必須の時代となってきた感があります。

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〈ライタープロフィール〉 寺地 裕樹(てらち ゆうき)


2008年に入社後営業部の主力メンバーとして、営業数字を牽引。2012年には、当時最年少で営業部部長に就く。現在は、商標・ドメインネームに関するコンサルティングを主に行うIPS部、営業部、営業管理部を率いる営業本部副本部長として従事。趣味は、家族と週末農家、インラインスケートなど。

#terachi

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