東京都立大学への改名に学ぶ、”育てたブランド価値”理解の重要性

2018年8月24日、東京都が設置する「首都大学東京」の名称を、かつて使用していた「東京都立大学」に戻す形で改名することが発表されました。改名は2020年4月を予定しており、名称変更に伴い、学生証や看板、広報物や書類などの変更が必要になり、その費用は少なくとも税金が10億円以上かかるとも言われています。この改名は知名度の低さや、在学生や卒業生による不評の声を受けて決定された形。

首都大学東京の沿革

首都大学は2005年に東京都立大学が他の3大学と統合した際に、当時の石原慎太郎知事が名前を公募して命名されましたが、実は公募で一番多かったのは64%で「東京都立大学」だったのに東京都はこの結果を無視し、石原氏の意向で名称変更を決定し、日本で唯一「大学」の語が末尾に付かない大学が誕生しました。

[su_table]2005年「首都大学東京」誕生2011年3月31日「東京都立大学」の廃止2018年8月24日大学名称を2020年4月より「東京都立大学」に改称することを発表

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日本の商標データベースであるJ-PlatPatでは、公立大学法人首都大学東京より、2018年07月12日に「東京都立大学(商願2018-090279)」の出願が確認できることから、2011年の廃止に伴い一度商標を廃棄しており、改名に伴い新たに出願をしたことが伺えます。

改名に見る、ブランド価値の重要さ

キリンラーメンが「キリマル」に改名


2018年8月1日、愛知県西三河地方のご当地即席めん「キリンラーメン」が”大人の事情”により「キリマル」に改名されました。大人の事情とは、飲料大手キリン社との商標権の問題であり、不使用取消審判の商標権争いの敗訴の後、残された手段として今回改名に踏み切った形となります。1965年に販売されて以降「キリンラーメン」として消費者に親しまれてきたブランド名の変更は、小笠原製粉株式会社が事業開始時に商標登録をしていれば、改名することもなかったのかもしれません。

オレオを名乗れなくなり「ノアール」で勝負


2016年8月に米モンデリーズ社との契約終了に伴い「リッツ」「オレオ」の製造を終了したことは記憶に新しいのではないでしょうか。ヤマザキビスケット社は、「オレオ」に代わる商品として、2017年12月1日より「ノアール」を販売しています。

「オレオ」という商標は、表記を見たり、呼称を聞くだけで食感や味覚を思いおこすことができるほど私たちに定着しているブランドです。「ノアール」は、ヤマザキビスケット社が自ら育て上げてきた「オレオ」ブランドと戦っていくこととなります。

両社とも、長年育ててきたブランドを名乗れなくなることにより大きな痛手を受けたことが想像できます。

商標の特徴は、「ブランド価値を育て続けられる」こと

商標は特許と異なり、商標登録をした時点での価値は”0”です。しかし、商標は、「ブランド価値を育て続けられる」という点が特徴的です。


また、特許は20年で価値が消滅してしまいますが、[su_highlight background=”#fdff99″]商標は更新し続けることで半永久的にブランドを育て続けられ、ブランドはいかようにも価値を高めていくことができるのです。[/su_highlight]

育てたブランド価値の理解

改名をすることが好機となり、売れていなかったブランドの人気が高まるケースもあります。しかし、今回の「東京都立大学」への改名に見るように、既に認知度や人気の高いブランドを改名する場合、ブランド価値の十分な理解が必要です。また、今回の「東京都立大学」へ改名は、企業ではなく教育機関であったため、商標権を一度廃棄していても他者に取得されることなく、大きな問題とならなかったと考えます。これが有名企業のブランドであった場合、廃棄されたブランドを他者が取得することで、育ててきたブランドが横取りされてしまうような形で取られてしまいます。『ブランドは育てられること、育てたブランド価値の理解が重要なこと』が、お分かりいただけましたでしょうか。また、事業を開始する際には商標を取得していることも非常に重要です。

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〈ライタープロフィール〉 中山 礼美(なかやま れいみ)

GMOブライツコンサルティング株式会社 IPソリューション部/メディア担当 consul@brights.jp

2011年に入社後営業サポート業務に携わり、2017年5月よりメディア担当者として、商標やドメインネームの業務を学びながら記事を発信。様々な業界のトレンドを意識した記事作りの難しさに奮闘中。趣味は食べるコト、プチプラでお得感の高いものを探すこと。

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